お久しブリーフ。
このところなぜかサンライズからはイベントの司会者として呼ばれることが多い脚本家の岸本みゆきです。
いや、ちゃんと本業もやってるんですよ。マンガの原作とか。
今回は、去る8月24日に新宿で行われたSDガンダムのオールナイトイベントがありまして、その司会&イベントレポートを書いてくれという依頼。
このイベント、元々は『SDガンダム三国伝』が放送当時、2011年の3月に行われる予定だったのですが…ほら、震災があったでしょ。それでね…。
で、この機会にもう一度やろうということになったのですが、さすがに放送終了から2年半も経ってるし、今さらお客さんなんてほとんど来ないんだろうなぁ…と思ったら、意外と集まってくれたんですよね。SDガンダムファンの皆さんは熱心で優しくて、本当にありがたいっす。
今回のイベントはSDガンダムスタッフによるトークショーが1時間と、三国伝の上映が劇場版も入れて合計8本、元祖SDガンダムの上映が劇場版など3本という内容でした。
では早速、その内容を振り返ってみよう。
(写真左から)森 邦宏氏、恒松あゆみさん、鈴木健一氏
まずトークショーに出演してくれたのは第1部が三国伝の監督の森さんと鈴木さん、貂蝉キュベレイ役で声優の恒松あゆみさん。
このメンバーとは、作品が終わった今も月に2~3回は飲む仲で、トークショーというよりも、いつもの飲み会みたいな雰囲気。
いやあ、三国伝のスタッフは当時から本当に仲が良くて、アフレコ終わりには毎回飲みに行ってたんですよね。あまりにも僕らが飲んでばかりなものだから、佐藤プロデューサーから飲み会禁止令がでたほどです。まあ、最終的には佐藤さんも開き直って一緒に飲んでましたが(笑)
僕らのそんな仲を今回のイベント担当者も知ってるもので、直前の打ち合せ台本を見ると、ほぼすべてのコーナーが「トーク内容は出演者の皆さまにお任せします」となってる。こういうのを、世間では丸投げというのだよ、ナカジマ君。
ということで、ほぼノープランで立ち向かったトークショーでしたが、そこはやっぱり勝手知ったる何とかで、気の合った仲間たちの思い出話に花が咲きました。
視聴者からの質問コーナーでは、思い入れのあるキャラは誰かという質問があったのですが、意外だったのは恒松さんの「公孫サンイージーエイト」という答え。真面目で頼りになるお兄ちゃんキャラが好きと仰いますがね、劇中で惨殺したのはお前らやろと(笑)
三国伝は元ネタが三国志なもので、ストーリーをしっかり描こうとすると、どうしても血なまぐさいハードな話になってしまうんですよね。もちろん、SDガンダムだからお子様をターゲットにしてる部分は大いにあるわけで、しかも放送時間は土曜の朝10時15分、『ケロロ軍曹』の後にやってたんですよ。その時間帯に謀略とか裏切りの連続で、果ては人間爆弾のエピソードとか、今にして思えばよくやったと思います。いや、逆に見た目が可愛いSDガンダムだからこそできたのかな?
あと、ちょっと嬉しかったのが「三国伝はスパロボで知った」というお客さんがチラホラいたこと。3DSのゲーム『スーパーロボット大戦UX』は僕がシナリオを担当させていただいたのですが、自分の仕事で少しでもSDガンダムファンを増やすことに貢献できたことは嬉しかったです。
(写真左から)横井孝二氏、今石 進氏、寺島慎也氏
トークショー第2部に出演していただいたのはSDガンダムの生みの親たちともいえるデザイナーの方々。横井画伯、今石画伯、寺島画伯のレジェンド3人。
この皆さんとも以前のイベントで面識があったし、特に寺島さんはスパロボのメカデザインでもお世話になったので、かなり仲良くさせていただいております。
事前の打ち合せもやっぱり「出演者の皆さまにお任せします」だったので、もう流れのままに行こうということになりました(笑)
画伯たちとのトークの中で印象に残ってるのは、意外にもGガンダム系のキャラはSD化する時のデザインに悩むということ。
Gガンダムのメカってみんな個性的だし、モチーフもしっかりしてたりするから、てっきりSD化するときも直球路線なのかと思いきや、逆にその個性が強すぎて、テーマに合わせてデザインするのが難しいそうです。
うーん、これはシナリオライターにはわからない悩みだったなぁ。
そんな苦労もあってか、寺島さんの一番印象に残ってるSDキャラはゴッド丸だそうで。これには客席も湧いておりました。
ちなみに横井画伯のお気に入りはというと…これは当時のかなり愉快な誕生エピソードを紹介してくれたのですが、内容はここではちょっと書けません(笑)
知りたい人はSDガンダムナイトに参加してくれた友人に聞くか、次回のイベントがあればそれに参加しよう。まあ、ヒントはアレだ。何とかレイバー。
トークショーのラストではプレゼント抽選会があったのですが、これがまた意外と豪華でね。すでに絶版となったSDガンダム本に3人の画伯のサインをつけたりとか、完全受注生産だった三国伝のブルーレイボックス&貂蝉キュベレイのプラモデルに監督たちのサインを添えたりとか。サンライズもバンダイビジュアルも奮発したな。
あと、念願だった応援の練習をやりましたよ。
劇場版の三国伝では、劇中で観客の皆さんに応援を求めるシーンがあるんですが、これは僕が元々ヒーローショー現場の出身ということもあって、シナリオ制作時に監督にお願いして入れてもらったんです。
ほら、遊園地とかでよくやってるでしょ?
子供たちが舞台上のヒーローに向かって、「がんばれーっ!」って応援するやつ。あれ、ちゃんとショーの前に司会のお姉さんが子供たちに練習させるんですよね。で、それを習って今回のお客さんにもがんばれの練習をしてもらったんですよ。
もちろんオールナイトイベントに小さいお子様などいらっしゃるはずもなく、大きなお友達によるがんばれコールは、まるで労働組合か選挙運動の集会にしか見えませんでしたが、温かいファンの皆様の大声援を聞くことができて、おじさんはとっても満足でした。
イベント終了後の打ち上げでも出演者やスタッフの皆さんと話してたんですが、SDガンダムファンの皆さんはとても熱心で、そして温かい。こういう人たちに支えられて僕らは仕事してるんだと実感できました。
どんな仕事でもね、やっぱりお客さんの視線に立たないとダメだと思うんですよ。拝金主義になってはダメです。売れるモノよりも、まず良いモノを創ろうとしなくちゃ。儲けは後からついてくるものです。
と、最後は真面目に半沢直樹的なことを言ってみるが、俺たちにとっては「倍返しだ!」の決めセリフはシロー・アマダだよな(笑)
以上で、今回のイベントレポートはおしまい。
SDガンダムを支えてくれる人がいる限り、またこういうイベントはあると思いますので、その時はまた来てね。
岸本みゆきでした。
(文/岸本みゆき)
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