HDリマスター版の放送や、その映像ソフトの発売など、本放送開始から12年経った今でもイベントの開催が続くガンダムシリーズの人気作『機動戦士ガンダムSEED』。その『SEED』の「37.PHASE-39 アスラン」から「AFTER-PHASE 星のはざまで」までが、「サンライズフェスティバル2014湧昇」の一貫として、9月6日(土) 新宿ピカデリーの大スクリーンで一挙上映された。さらに、当日は福田己津央監督、キラ・ヤマト役の保志総一朗氏、アスラン・ザラ役の石田 彰氏が登壇してのトークイベントも開催された。
テレビ放映時とは違うHDリマスター版の上映。戦闘シーンの迫力も格段にアップし、新規カットもある今回の上映に、「『SEED』のリマスターは小さい画面で観たことはあるんですが、これだけ大きいスクリーンで観たことは僕もないので、今日はいい経験になるんじゃないかなという気がします」という監督の挨拶から、会場の期待も高まる中、トークショーはスタートした。
まず司会者から、今年35周年を迎えた『機動戦士ガンダム』に初めて触れたときのことを尋ねられた3名。
「僕がサンライズに入った年にやってたよ。(その時に丁度作っていた話は)テキサスの攻防あたりをやってたかな」と福田監督が言えば、保志氏、石田両氏からは「懐かしい」との声。さらに監督から製作裏話や「当時から富野(由悠季)さんは怒ってた」などのコアな話も飛び出した。
また、石田氏は「小学生の時にオリジナルガンダムを観ていた年代で、真剣にアニメーションと向き合うという見方を始めたのがガンダムから」、保志氏は「再放送のタイミングで観たんですけど、劇場版をやっていた頃ですね。その劇場版で初めて映画館に映画を観に行ったんですよ」と話すなど、それぞれのガンダムの思い出を語る2人。しかし、会場には『SEED』でガンダムシリーズに出会った世代も多く、年代の違いに出演者は苦笑していた。
続いて『機動戦士ガンダムSEED』の話へ。最近ではドラマCDが作られるなど、10年を経てもなお向き合う機会のある本作に対して、「ゲームやいろいろと常に演じていますが、後日談としてキャラクターの新たな台詞を話すのは本当に久しぶりだったので、単純に懐かしい気持ちとまた演じられる嬉しさと、意外にこんな性格だったのか、と思うような面白いエピソードもあったりしました。でも、肩ひじ張らずに演じられています」という保志氏。
一方の石田氏は「(リマスター版特典ドラマCDで)僕も久しぶりにアスランをやらせてもらって、相変わらず当時と同じようにダメ出しをもらって、アスランをわかってないなぁ、と思いました」と笑えば、監督からの「石田くんはリアルアスランなんだから、わかっちゃったらダメだよ。わかってないところがアスランなんだから」との言葉に、会場は笑い声に包まれていた。
ホームページで募集したという登壇者への質問に答えるコーナーでも、たくさんの笑い声が湧く。「イザーク・ジュールについての印象を」と言う質問には、当時、声を担当していた関智一氏に、ムウ・ラ・フラガ役の子安武人氏が「智一、なんでそんないい声で演じるの?」とツッコんでいた話などに、笑いに包まれる会場。
また、「『SEED』の中で、保志さんの好きなアスランの台詞、石田さんの好きなキラの台詞はなんですか?」という質問に悩む2人だったが、石田氏は「金網越しにキラとアスランが対峙したときにトリィについて“昔、友だちからもらったんだ”っていう台詞が好き」と回答。すると保志氏は「アスランがキラに“キラ……、お前は永遠の友だちだよ”って」と忘れられない台詞を答えたが、その答えに石田氏が「……は?」と驚愕。実際は全49話までの『SEED』なのだが、保志氏が想い描いている『機動戦士ガンダムSEED』第63話「キラとアスランの1日」での2人なのだという。この予期せぬ答えに、会場は大爆笑となった。
そして、「今、改めて伝えたい作品の魅力や作品を通して伝えたいことは?」という最後の質問に、それぞれ答える3人。
福田 | 「観てくれた人が考えることですよね。でもラスト前のナタルが死ぬところは泣けますね。」 |
保志 | 「キラとしても最終回のフレイのくだりは泣けます。」 |
石田 | 「戦争を描いている以上、人は死んでいってしまうので、その死に視聴者の人たちがどれだけ意味を持って観てくれるか。一年かけて描かれてきたストーリーの中で思い入れがあるキャラクターがいなくなってしまう衝撃は大きいでしょうけれど、その人がいなくなって残された人の想いを観ていただけると、それぞれ感想を持っていただけるんじゃないかと思います。」 |
石田氏の答えは、改めてこの作品を見終えた観客の胸には何が残るのだろうか、という問いかけでもあった。
観る人それぞれに、その時その時の感情とともに大切な想いを与える『機動戦士ガンダムSEED』を、スタッフ、キャストがどれほど愛しているのか、そしてそんな作品をファンがどれだけ愛しているのかを感じさせる、和やかな雰囲気に満ちたイベントだった。
文:えびさわなち/編集:レッカ社
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