アジア最大級の国際映画祭となる「第28回 東京国際映画祭」にて実施される特集上映「ガンダムとその世界」の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』上映は、10月25日(日)に新宿ピカデリーで開催された。
イベントではトークショーも実施され、安彦良和総監督とキャスバル・レム・ダイクン役の田中真弓さんが登壇。ライターの石井 誠氏も司会として登場した。
まずは安彦氏が、「僕がよくお付き合いしていただいている数少ない声優さんの一人が田中さんで、それ以上に、一方的なファンです」と切り出し、田中さんとの長い付き合いを振り返る。
キャスバル役のキャスティングについて「藤野音響監督という非常に真面目な方にお任せだったんですけども、ただ一人だけ『キャスバルは田中さんに』とお願いしました。藤野音響監督には『田中さんはイメージができあがっちゃってるんだよなぁ』と言われまして、確かにそうだよなぁと思いつつも、大胆に要望しました」と苦笑交じりに語る。
田中さんの「できあがっちゃっているイメージ」については、「コンビニでおでんを頼んだら、その声で田中さんだとバレてしまった」というエピソードも披露された。それだけ広く世間に知られている声を持つ田中さんだが、声優としてのデビューは、安彦氏がキャラクターデザインを担当した『白い牙 ホワイトファング物語』(1982年)で、デビュー作にして主演という大抜擢となった。
▲『白い牙 ホワイトファング物語』 ©SUNRISE
『白い牙』から2年後の『巨神ゴーグ』(1984年)では、安彦氏は原作・監督・キャラクターデザインを担当。主人公の田神悠宇には、最初から「田中さんの声だよな」というイメージがあったと明かす。その理由に「少年の声が無理なく出る」ことを挙げ、田中さんほど自然に少年の声を出せる声優を他に知らない、と賞した。
田中さんにとっても悠宇は思い入れのあるキャラクターで、「成長物語として、悠宇は最初、怖がっているじゃないですか。そんな男の子がだんだん男らしくなっていくのは、やりがいがあるんですよね」と語る。
ここで安彦氏から「『巨神ゴーグ』のムック本(※)が、割と最近出たんですよね。そこで田中さんと池田秀一さんが対談をなさっていて。『あ、シャアって田中さんだよな。池田さんは幼い時、田中真弓さんだったんだ』と。それまでキャスティングって頭になかったけど、本を読んで思ったんです」と、キャスティングのきっかけが明かされた。
※新紀元社「巨神ゴーグ メモリアルアートワークス」(2014年)
▲『巨神ゴーグ』 ©SUNRISE
また、『ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』アフレコ時の感想を聞かれた田中さんは、「私もしてましたけど、みなさんすごく緊張していましたよ。ガンダムという作品の見えない重圧に、スタジオがピリピリ張り詰めていて、怖かったです」と述べる。
安彦氏が、「実際に録音してみて初めて、キャスバルの台詞少なかったんだな、と思いました。田中さんに申し訳ない」とコメントすると、「いえとんでもない!普通のアニメーションだったら声や息が入るようなところを、削いでいくような作業でしたね」と『THE ORIGIN』ならではの演出を振り返った。
そして話題は、いよいよ10月31日(土)より映像展開がスタートする『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』へ。一足先に見せてもらったという田中さんは「池田さん!ずっと聞いていたシャアの声とは全く違いましたね、変声期を迎えたけど、完全な男の人ではないくらいの、『青年』の声でしたね。『あのシャア』ではない。おおっ!と思いました」と感想を述べた。
最後に田中さん、安彦氏からのメッセージが語られると満席の会場から大きな拍手が沸き起こり、イベントは終了となった。
田中真弓
(ガンダムシリーズ初出演の)私みたいな新参者が言うべきことじゃないかもしれませんけど、本当に面白いです。2話を見ても、3話、4話が楽しみなので、安彦先生、早く作ってください!
安彦良和
一回アニメを辞めた私が、『THE ORIGIN』の総監督を引き受けて、今、大変良い思いをさせていただいています。昔のアニメ制作の、非常に手薄な状態で作っていた大変な状況と照らし合わせると、今初めてアニメの仕事をしているなぁという実感があるくらい、充実しております。それだけに、結果にも非常に満足しております。これから先も、スタッフとキャストのみなさんのおかげで、愛すべき映像ができると確信を持っております。ですから、ぜひ期待を込めてご覧いただきたいと思います。長丁場になるかもしれませんけれども、どうぞお付き合いください、よろしくお願いします。
「第28回 東京国際映画祭」は、10月31日(土)まで六本木・新宿エリアにて開催され、会期中は「TOHOシネマズ六本木」、「TOHOシネマズ新宿」、「新宿ピカデリー」、「新宿バルト9」にて多彩な作品を上映。
「ガンダムとその世界」と題した特集上映では、ガンダムシリーズから厳選された26作品が上映されるほか、豪華ゲストを招いてのトークショーを実施。さらに、入場者プレゼントとして劇場版ガンダム三部作のカットフィルムが配布される。
なお、新宿ピカデリーでは、東京国際映画祭の開催と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』の上映を記念して、「シャア専用オーリスII」の市販モデルと量産型ザクモデルのコンセプトカーを展示中。展示期間は10月30日(金)まで。
(ガンダムインフォ編集部)
第28回 東京国際映画祭
[開催期間] 2015年10月22日(木)~ 10月31日(土)
[会場] 六本木ヒルズ / 新宿バルト9 / 新宿ピカデリー / TOHOシネマズ新宿 ほか
[チケット] ticket boardにて発売中
[開催期間] 2015年10月22日(木)~ 10月31日(土)
[会場] 六本木ヒルズ / 新宿バルト9 / 新宿ピカデリー / TOHOシネマズ新宿 ほか
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