イベント上映、Blu-ray劇場先行販売、先行有料配信が大好評実施中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』では、5月31日(火)、東京・新宿ピカデリーにてスタッフトークショーが開催された。
舞台には、CGプロデューサー兼CGディレクターの井上喜一郎氏と、CGプロデューサーの岩切泰助氏、司会進行役として谷口 理プロデューサーが登壇。本作におけるCG制作の秘話やこだわりなど、裏側に踏み込んだトークが展開された。
▲岩切泰助CGプロデューサー[左]、井上喜一郎CGプロデューサー兼CGディレクター[中]、谷口 理プロデューサー[右]
まずはじめに、どのような部分にCGが使われているかが説明された。
本作では「メカだからCG」と決まっているわけではなく、絵コンテを基に、安彦良和総監督や演出担当、撮影担当と相談しながら、その都度手描きの作画とCGのどちらが効果的か検討されており、結果としてメカだけでなく、爆発などのエフェクトや第2話ラストシーンでのたなびく木々など、自然の表現にも積極的にCGが使われている。
また、基本的にすべてのカットは作画担当によるレイアウト(画面構成)と安彦総監督のチェックを経た後にCG担当へ渡される工程をとっており、作画を重視したプロセスとなっていることが明かされた。
▲動きのタイミングを指示するタイムシートや、原画、レイアウトがカット袋で管理される。レイアウトには、カメラワークの指示も入っている。
次に、「シャア専用ザクII」を例に、CGの具体的な制作過程が解説された。
最初に行うのは「モデリング(造形)」で、メカデザイナーが完成させたデザインをベースにシンプルな形状を作り、デザイナーとのやり取りを繰り返しながら、形状を作り込んでいく。『THE ORIGIN』のシャア専用ザクIIはカトキハジメ氏がデザインしたもので、モデリングの途中でも綿密なキャッチボールがあったようだ。
形状が完成すると、「質感」を付ける工程へ。ここで色や影が付き、さらに、作画では大変なマーキングや、細かいディテールも追加される。本作ならではのCG表現として、ハイライト(光が当たって明るくなった部分)はあまり付けずマットな質感となっているが、これは、CGでハイライトを付けるとテカテカと際立ってしまうためで、作画に馴染ませるために効果的な手法が選ばれた結果だ。
▲シンプルな形状から調整していき、質感が追加される。ディテールが増すごとにポリゴン数も増加するが、あまり多くなりすぎると出力に時間がかかるため、バランスをとっているとのこと。
質感が決まると、動きの設定が行われる。各関節が自然に動くことはもちろん、ガンプラの可動域とも密に連携しており、かつ、映像として見栄えが良くなるよう調整されている。
ここで谷口プロデューサーから「モデリングの際の難しさとは?」との質問が。
井上氏は「絵で描かれたものを違和感のないようにCGに落とし込むこと。設定画の印象を汲み取ること」と答え、岩切氏も「設定画は、三面図のような図面ではなく、見栄えの良いパース、アングルで描かれているものなので、そのニュアンスを拾うことが大切」と付け加える。
▲動きの検証では、大胆なポージングから繊細なものまで念入りに確認が行われる。
続いて行われたエフェクトの解説では、第3話で登場するペイント弾の着弾や爆発エフェクトの制作過程を紹介。さらに、CGで作られた野菜類も登場し「劇中のどこに登場するか、意外とわからないかも」という話も。
また、作画とCGの組み合わせの例として、群衆や、「ヴァッフ」組み立てのカットが挙げられた。ヴァッフは右肩が手描き、それ以外はCGという特殊なカットであったことが明かされた。違和感ない仕上がりとなっているので、ぜひ本編でも注目してもらいたい。
▲ラフな状態の映像と、CGによるエフェクトも合成された完成映像。
▲これらの野菜がどこに登場するか探してみよう。
▲手前の群衆は手描き、奥はCGと組み合わせられている。ヴァッフの完成映像は本編で確認してみよう。
そして、第3話での新たな試みとして、「迷彩服」へのチャレンジが取り上げられた。テスト映像では、赤い彗星のシャアが迷彩柄になっており、その違和感に観客から笑いが起きる。しかし完成したカットでは、CGの迷彩人物モデルが用意され、作画の動きにあわせてCGを当てて貼り込むという大変手間のかかる手法となっており、非常に完成度の高い表現となった。
▲テストで作られた「迷彩服のシャア」。作画部分とうまく組み合わせるため、仕上げ(色塗り)の工程などでも手間がかかっている。
また、安彦総監督は当初CGに詳しくなかったが、第1話、第2話と進めるごとに気に入って、CGのカットがどんどん増えてきたというエピソードも披露された。第4話では、予告編でも見られる通り、オリジナルマーキングのものを含む多数のMSや戦艦が登場し、戦闘やアクションを繰り広げるので、ぜひ注目して欲しいと3人から語られた。
▲第3話に登場する司令塔のカット。当初は作画の予定だったが、安彦総監督から「回り込むカメラワークにしたい」と要望があったため、急遽CGを制作することに。左はイメージを決めるために手描きされた美術ボード、右がCGを使って完成した映像。
イベントの最後には、恒例となった「ジークジオン!」の予行演習が場内全員で行われ、登壇者からのコメントにより盛況となったイベントは幕を閉じた。
谷口 理プロデューサー
本当に夜遅くまでありがとうございます。実は昨日まで『THE ORIGIN』の上映でロンドンへ行っておりまして、「ジークジオン!」やってきました(会場笑)。向こうでも1,000人くらい集まってくれて、イギリスでの熱いガンダム愛を感じて帰ってきました。今週も上映が続きますので、また見に行っていただき、第4話、ルウム編も期待していただければと思います。今後ともよろしくお願い致します。
井上喜一郎 CGプロデューサー兼CGディレクター
今回はCGのお話をさせていただきましたが、メインはキャラクターの作画の部分だと思いますし、CGを意識しないで物語がすごく楽しくなるのが1番だと思っていますので、その辺りを肝に銘じて作っていきます。ぜひご期待ください。よろしくお願い致します。
岩切泰助 CGプロデューサー
現場の方は今、第4話制作真っ只中ということで、走り続けております。ルウム編も決まりまして、これもみなさんの応援があったからこそ決まったことです。これからも引き続き応援してくださると嬉しく思います。本日は本当にありがとうございました。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』全国15館でのイベント上映は6月3日(金)まで。入場者プレゼントも配布されているほか、最終日である6月3日(金)には、新宿ピカデリーにて「オリジン VS サンダーボルト プロデューサートーク round.1」が開催され、両作品のプロデューサーに加え、ぬまっちさんと若井おさむさんも登壇する。
また、Blu-ray劇場先行販売、先行有料配信も同時にスタートしているので、あわせてチェックしておこう。
※本文中、一部敬称略
(ガンダムインフォ編集部)
Le date riferite ai prodotti e ai servizi elencati saranno programmate in Giappone.
La programmazione varia in base ai distretti. Si prega di controllare i dettagli sul nostro sito ufficiale o presso il negozio più vicino.
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