『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』のスタッフトークショーが、イベント上映最終日となる7月8日(金)に新宿ピカデリーにて開催された。
トークショーには、松尾 衡監督とアシスタントプロデューサーの小橋泰文さん、制作デスクの仲 寿和さん、第3話キャラクター作画監督の田頭真理恵さんが登壇。普段あまりイベントなどに出演しないスタッフがそろったということで、制作現場の深い話が語られた。
まずは、各人の仕事内容についての簡単な紹介からスタート。“アシスタントプロデューサー”という役職が設けられている作品は、現在のサンライズでは『サンダーボルト』と『コードギアス 亡国のアキト』だけだそうで、「難しい作品の時にたてられる、珍しい役職」だそうだ。
“制作デスク”は「作品やスタジオによって若干異なる」そうだが、本作に関しては「作画監督、背景などメインのところは小橋さんと相談しつつ、作画さんの営業をしたり、スケジュールが大変な時に各所と相談したり、制作が円滑に進むように調整する仕事」とのことだ。
▲左から小橋泰文さん、松尾 衡監督、田頭真理恵さん、仲 寿和さん。
“作画監督”については「各話数ごとに原画マンの上がりの、絵と演技を直す」との説明があり、松尾監督からも「少し直せば大丈夫、またはほとんど直さなくても大丈夫、という人は1割ぐらいで、残りの9割のうちどれだけ直すことができるかでクオリティが決まる」との補足が。また、今回は総作画監督も設けられているが、あまり深くチェックすることはなく「各話の作画監督の個性が出てもいいんじゃないか」というコンセプトで制作されたそうだ。
続いて、実際に田頭さんが担当したシーンをスクリーンで見ながらの説明へ。第1話の「イオがフーバーを殺すシーン」では、初めに「レイアウト」というラフをつくり、演出や作画監督の指示が入って「原画」になる、という流れが解説された。また、「カーラが機銃座で撃っているシーン」では、「見えないところをしっかり描く」ために、メガネを別セルで描いたそうだ。
▲レイアウトと原画を比較しながらイオがフーバーを殺すシーンを紹介。
▲カーラが機銃座で撃っているシーンの修正を紹介。
また、松尾監督は本作の制作について、「上手い人がそろっていても制作がルーズだとダメなフィルムになってしまうが、そういうことがなるべく起きないようにしてくれたのが、今回の制作だと思っている」と、その仕事ぶりをとても評価している様子だった。
『サンダーボルト』という作品の特徴としては「絵を描く前に台詞を収録する“プレスコ”である」ことが挙げられるが、「演技を聞いてコンテを変えたりしたか?」という司会者からの質問に対し、田頭さんは「声優さんの演技が演出みたいなもの。台詞のニュアンスに作画が合っていないと私はよくないと思うので、なるべく合うように気を付けています」と回答。
また、「MSが手描きである」ということもよく取り上げられるが、実際はCGも多く使っているそうだ。例えばコックピットは、レバーとシートベルト以外の90%以上はCGを使用し、作画のカットは非常に少ないとのこと。その他にも、戦艦の格納庫のレイアウトやデブリの一部もCGだそうで、「そのような後押しがあったから、MSを手描きにするリソースを回せたというメリットがある。“手描きガンダム”とばかり言わないで、CGも頑張っていることは頭に入れておいて欲しい」と監督は語った。
また、キャラクターについて、田頭さんは「あまりどのキャラクターが好きかというのは決めたくないけど、人間くさい、男くさいっていうのが全面に出ているので、どちらかというとイオ派。でも男くささという表現は意外と難しい」と振り返った。
さらにこの日は、『サンダーボルト DECEMBER SKY』と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がコラボしたプロデューサートークショー「オリジン VS サンダーボルト プロデューサートーク」の第4弾が、『サンダーボルト』Blu-ray・DVDの一般発売日である7月29日(金)に新宿ピカデリーで開催されることが発表された。
お馴染みの『サンダーボルト』の小形尚弘プロデューサー、『ガンダム THE ORIGIN』の谷口 理プロデューサーに加え、シャアのものまねでおなじみのぬまっちさんと、ガンダム大好き芸人・若井おさむさんが出演予定とのことなので、続報を楽しみに待とう。
最後に各人からコメントがあり、トークショーは幕を閉じた。
田頭真理恵
今日は呼んでいただきありがとうございました。今後『サンダーボルト』がどうなっていくかはわかりませんが、アニメの方よろしくお願いします。
仲 寿和
今日はありがとうございました。『サンダーボルト』は一旦終了ではありますが、また何かの作品で僕らの名前を見かけた時は、見ていただけると嬉しいです。
小橋泰文
現場のスタッフをこういう場所で紹介できることは少ないので、今日は田頭さんと仲君に出てもらえてよかったです。アニメファンの中でもガンダムファンの皆さんはすごく身近な人たちだと思っていて、いつも感謝しています。Blu-rayをたくさん買っていただけると次も作れると思うので、これからも応援よろしくお願いします。
松尾 衡
この後販売とかの仕事が残っている人も沢山いますが、上映は終了なので僕はひと段落ついたのかと思うと寂しい限りです。ですが、またどこかでお会いできるといいですね。その時を楽しみにしていますので、皆さんもお元気で。ありがとうございました。
トークショー終了後は、「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY Blu-ray Disc COMPLETE EDITION」を購入した人を対象に松尾監督のサイン会が実施され、多くの人が列を成した。
『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』のBlu-ray・DVDは、7月29日(金)に一般発売予定。有料配信は、レンタル配信(TVOD)と、視聴期限のないセル配信(EST)で実施中。価格はレンタル配信が1,200円(税抜)、セル配信が3,000円(税抜)。
※一部敬称略。
(ガンダムインフォ編集部)
『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』スタッフトークショー
[日程] 2016年7月8日(金)
[場所] 新宿ピカデリー
[日程] 2016年7月8日(金)
[場所] 新宿ピカデリー
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